定義
 プロテオグリカンの明確な定義はありませんが、「生化学辞典」(東京化学同人発行)によると、グリコサミノグリカン(ムコ多糖)とタンパク質との共有結合化合物の総称、古くは、ムコ多糖タンパク質とも呼ばれた、と説明されています。
 一般的には、1本のコアタンパク質に数本から数10本のグリコサミノグリカン(糖鎖)が結合している複合糖質を総称してプロテオグリカンと呼んでいます。
 グリコサミノグリカンが特異的な2糖繰り返し構造を持ち糖鎖を構成していますが、コアタンパク質に比較して糖の含量が多いため、細胞表面に存在する一般の糖タンパク質とは区別されています。
 後ほどの説明にも出てきますが、グリコサミノグリカン(ムコ多糖、GAGと表記されることもあります。)を構成する糖の種類により、いくつかの異なったタイプの糖鎖が存在します。その糖鎖の種類によってプロテオグリカンも分類されています。
 当社が生産しているプロテオグリカンは、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンと言う種類のものです。
糖鎖の種類・2糖構成及び主な存在部位
 前述のとおり、糖の特定の部位に硫酸基が結合しているものと、全く硫酸基が結合していないものがあり、一般的に下表のように分類されています。
糖鎖は、ヒアルロン酸を除き、糖鎖単独では存在しません。生体内では必ずコアタンパク質と結合して、プロテオグリカン、糖タンパク質または糖脂質の形で存在し、機能しています。
 ヒアルロン酸は、硫酸基の結合もなく、コアタンパク質との結合もないため、プロテオグリカンを構成しません。
 また、グリコサミノグリカンを構成する2糖とは、アミノ糖(N-アセチルグルコサミンまたはN-アセチルガラクトサミンです。)とウロン酸(グルクロン酸またはイズロン酸です。)またはガラクトースでありますが、この2糖が交互に繰り返す構造を有していることが特徴です。この2糖の組み合わせの違いにより、数種類のグリコサミノグリカンが存在します。
 さらに、この2糖には硫酸基が結合しているものもあり、その結合場所や結合の割合も様々です。
従って、プロテオグリカンもいくつかの種類があります。
グリコサミノグリカン主な存在部位アミノ糖+ウロン酸
ヒアルロン酸硝子体、関節液、臍帯GlcNAc+GlcUA
コンドロイチン角膜GalNAc+ GlcUA
コンドロイチン硫酸軟骨、骨、象牙質GalNAc+ GlcUA
デルマタン硫酸皮膚、腱、動脈壁、骨、象牙質GalNAc+ IdoUA/ GlcUA
ケラタン硫酸軟骨、椎間板、角膜GlcNAc+Gal
ヘパリン筋肉、小腸、肺、腱、肝臓、脾臓GlcNAc+ IdoUA/ GlcUA
ヘパラン硫酸細胞表面、基底膜GlcNAc+ IdoUA/ GlcUA


 また、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンもコアタンパク質の大きさや、結合している糖鎖の本数により下表のとおり各種のタイプが存在します。当社が生産しているものは、アグリカンと呼ばれている大きな分子量をもつプロテオグリカンです。 コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの例
コールドスプリングハーバー著「糖鎖生物学 第2版」(丸善株式会社刊)より引用
糖の種類
 グリコサミノグリカンを構成する単糖の種類は、次の8種類が知られています。
グルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、フコース、N-アセチルグルコサミン、
N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルノイラミン酸
 上記の8種類の単糖のうち特定の2糖が繰り返すことによって、グリコサミノグリカンの種類が決定されます。
細胞外マトリックス
 細胞と細胞の間に存在している物質全体を細胞外マトリックス(ECM)とか細胞外基質または細胞間基質と呼んでいいます。主なものとしては、プロテオグリカンとコラーゲンですが、部位によって若干のヒアルロン酸、エラスチン、テネイシン等を含んでいます。すなわち、プロテオグリカンとコラーゲンは、いずれも細胞外マトリックスを構成する重要でかつ基本的な成分であります。
  細胞外マトリックス
細胞外マトリックスの機能
 細胞外マトリックスの機能、すなわちプロテオグリカンとコラーゲンの機能とも言えますが、まず細胞の足場になっていることです。
しかし、もっと重要なことは、毛細血管から吐き出された酸素や栄養素、さらには信号伝達物質であるサイトカインやホルモン、NK細胞等の免疫細胞、場合によっては細菌やウィルス等の病原菌や毒素等も一時的に結合保持して、各細胞に配給したり結合したりする機能です。また逆に細胞から吐き出された炭酸ガスや老廃物、細胞が産生した有用成分等を一時的に結合保持し、近隣の細胞に渡したり、毛細血管に戻す機能を担っています。
 このような活動を通じてプロテオグリカンとコラーゲンは間接的に細胞の分化、増殖、結合、移動等に関わっているものと考えられています。
 プロテオグリカンとコラーゲンは、細胞外マトリックスとして上記のような機能を有していますが、さらに単体として各々の機能を有していることが知られています。